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剣道で最高段の奴から1本取った

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いつものように歯を磨きながら新聞を読もうと広げ、広告の束を取り出したら、その広告の一番上に見たことがある顔写真が載っていた。
それは広告ではなく、地域の広報誌だった。
地域で頑張っている人を紹介するコーナーだった。
よく確かめてみると、やはりあいつだった。
高校の同級生だ。
もう50を過ぎているので、それなりに老け少し白髪もあり、少しふっくらとしていたが、その目はあの時のままだったからすぐにわかった。
人懐っこい目でいつもにこにこしていたあの目。

しかし彼は剣道の有段者で、剣道部の部長をしていた。
その高校は、剣道を学校で推奨していたので、やりたくもなかったが体育の授業では必ず剣道の時間があった。
そして年に1回は、全校で剣道大会なるものが行われた。

高校3年の時に、その大会でそいつと試合をしたことがあり、まぐれで小手を入れて勝ったことがあった。
こっちはド素人だが、あっちは有段者でしかも剣道部の部長だ。
その時、顧問の先生にこっぴどく怒られていた。

油断していたことは確かだった。
ド素人の私に、にやにやして向かってきた。
こっちもどうせ勝てないだろうから、初めの一手だけ真剣に打ち込んでやろうという作戦だった。
それが偶然当たったから、驚いた。

当たった瞬間、そいつは目を見開き驚いていた。
適当に手を抜いてやっても勝てると思っていたに違いないから、驚くのは当たり前だ。
あの時の目を、今でも忘れる事はできない。

それ以来、仕事でも何でも無理だと思っても、初めだけでも真剣にやるようになった気がする。
その後は、なるようになれといった感じでやってきた。
だから、職を探す時も始めてやる仕事でも、初めだけでも真剣に取り組み、それでだめなら仕方がないという感じでやってきたのが、良かったような気がする。

初めから諦めるのではなく、やってみてから決めればいいんだ。という感じで。
あの小手の感触は今でも忘れる事ができない。実に手ごたえがあった。奴が踏みこんだ瞬間当てたからカウンターになり、十分な手ごたえと音がした。

その広報誌を手に取り読んでみたら、今はその高校で体育の教師をしていて剣道部の顧問となり、剣道で最高段となる8段を取れたことが書いてあった。
結婚して子供が3人いるそうだ。
その笑顔から幸せそうな家庭が想像できる。

今の自分とは正反対だ。
もし同窓会があっても行きたいとは思わない。こっちが惨めになりそうだ。

でも久しぶりに顔を見れたのは良かった。
その幸せそうな笑顔に、妬むようなことがなかったのは、あの小手の記憶がそうさせたのかもしれない。

またいつか何かに、あの時のような小手を決めてみたいものだ。



またいつか ・・・








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プロフィール

山空

Author:山空
40代後半病気になり職を失う。その後少しでも収入を得ようと努力するがうまくいかず無職の日々は続く。今は貯金を取り崩しながらのセミリタイア生活。社会からはじかれ、心臓に障害を負いながらも楽しみを探し一人日々を生きる。

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